公益財団法人 小佐野記念財団

第18回最優秀作品(小学校の部)

第18回国際交流・国際理解のための
小中学生による作文コンクール最優秀作品(小学校の部)

青い目も黒い目も

山梨市立八幡小学校6年 深沢 結菜

 私には弟がいる。その弟が前に私に言ったことがある。
 「青い目こわくないの?」

 私は今でも弟の質問を覚えている。ものすごくショックだった。青い目とは、私の大好きな英会話教室の先生の事だ。とても悲しかった。なんで目の色が違う事がこわいのだろう?絶体ひどい。人種差別だ。今考えても許せない。そのときは私もすごく頭にきて、
 「こわくない!」
とにらみつけた。弟も、とてもいけないことを言ってしまったと思ったようで、泣きそうな顔をした。納得できない。私は弟に理由を聞いた。テレビで「エイリアン」という映画を見たそうだ。そのかいぶつの目が青かった。ただそんな事だった。それで先生を見ることもこわくなってしまったらしい。先生の青い目と同じわけがない。

 でも今だにこわい話のキライな弟にとって、その頃は本当に同じに見えてしまったのだろう。弟は今はその出来事が信じられない位、先生に逢うことを楽しみに通っている。「目は口ほどにものを言う。」目は言葉と同じように感情を伝える力をもっているというものだ。弟は、まず先生の目がこわくて見れなかった。

 そしてその時の弟は「思い込み」が強すぎて、心を閉ざしていた。先生の青い目はいつだってやさしいのに。では何がきっかけになって心を開いたかと言えば、先生が日本語を使って、弟をほめてくれた事だそうだ。先生にぼくの日本語が通じていると分かって、目を見れるようになったそうだ。そしてこころが通い合ったのはすぐだった。

 私がその教室に入った理由も実は目の問題であった。私は弟と逆で、その頃「黒い目」がこわかった。自分から仲間に入れてと言えない様な子供だった私は、「遊ぼう」と言って「嫌だ!」と言われた事から黒い目がこわくなった。目の青い先生は初めて会った私に友達のように手をつなぎ、いっしょに歌を歌ってくれた。本当にうれしかった。言葉は分からない。でも先生の青い目を見ていると、とても安心できた。

 英会話教室では、年齢も学校もみんな違う。だけど先生の授業の中で私はたくさんの友達をつくる事ができた。目の色なんて全く関係ない。言葉が通じない、それも大丈夫。今、私にできる事、私や弟のように青い目や黒い目をこわいと思っている子供がいたら、教えてあげたい。先生が私に教えてくれたように。言葉の通じない事に困っている子供がいれば、助けてあげたい。だから私は先生にもっともっと英会話を教わって、いつかきっと役に立ちたいと思う。

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