第17回最優秀作品(小学校の部)
第17回国際交流・国際理解のための
小中学生による作文コンクール最優秀作品(小学校の部)
愛に満ちた世界への第一歩~私と出会った人々とともに~
山中湖村立東小学校 4年 福留 伊織
私は、小学校1年生の時にカナダの先住民の人に会いました。先住民の人に会ったのはカナダが初めてでした。鹿の皮で太鼓を作っている時。まだ小学校1年生で力が足りなかった私。30人ぐらい子ども達がいたにもかかわらず、困っている私をネイティブの人が見つけ、鹿の皮を引っぱってくれたのでした。
その日のランチタイムの事。私はその鹿の皮を伸ばしてくれたお兄さんと仲良くなりました。その時の私はまだ英語が話せなかったけれど、お互いが分かり合えたような気がしました。そして、サーモンのサンドウィッチを食べていた時、中学校1年生の野口君が土の上にそのサンドウィッチを落としてしまいました。日本では食べ物を落としてしまえばしかられます。
しかし、その時はちがいました。ネイティブの人の考えはこうでした。動物は人間のために食べ物になってくれます。だから感謝をしなければなりません。落としてしまったサンドウィッチはそのお礼として動物たちにあげる事が出来ます。と言うのです。そして、その落としてしまったサンドウィッチは、切り株の上におかれました。
しばらくするとそこに1匹のリスが来ました。私達とネイティブの人達が見守る中、そのリスはそのサンドウィッチを持って巣に帰っていきました。切り株の上においたのは動物達が安心して食べ物を見つける事が出来るからだと聞きました。私はそれを見て、心がジーンとしました。
私は今年小学校4年生になりました。カナダやオーストラリア、そしてニュージーランドのマオリ族の人々と出会う事が出来ました。特に、マオリ族の人達と過ごした時間は、昔どこかで過ごした事があるような不思議な時間でした。戦いの前に踊る「ハカ」は悲しい歴史の出来事を感じさせてくれました。私たちが生まれる前に起きた事を肌で感じることが出来ました。
一見怖そうな気がしましたが、お話をしてみると、とても明るく優しい人達でした。みんなでマオリ族の伝とう料理である「ハンギディナー」を食べ、彼らの生活を知り、色々な国の人たちと踊ったり、自分の国の歌を歌い合ったりして過ごしました。心の中がポカポカとしてくるのが感じられました。
そして今年の夏休みに、北海道へ行きました。自分の生まれた国の事をもっともっと知りたいと思ったからです。北海道の日高の二風谷という町は北海道の中でもアイヌの人々が多く生活している町だからです。
そこで、私はアシリ・レラ(山道康子)さんと出会いました。アイヌの人々は人間の事をアイヌといい、他のもの全てをカムイ(神)と考え、大切にしています。カナダやオーストラリア、ニュージーランドで出会った人たちと同じように、アイヌの人々はとても優しい人たちで、まるで、海外でホームスティをしているような気持ちになりました。
狩りの生活をしてきた人々は、いつもえ物が取れるとは限りません。お米などに比べてお肉は保存が難しいので、みんなで分け合って協力して生活をしていきます。人はお互いを大切に思いやり自然(神)に感謝の心を忘れません。ご飯の前には「フンナー」、食後には「エネケラーン」という大きなレラさんの声が響きました。私も小さな声で「エネケラーン」と言いました。「エネケラーン」は”I like it very much.Thank you for good dinner”と同じ心があるような感じがしました。日本語の「ごちそうさま」とは少しちがい、感謝の心が深いような気がしました。
北海道から帰ってきて、私は今までよりもご飯を作るようになりました。そして、「ごちそうさま」と言う時、私のために食べ物となってくれた動物達や植物達の事をちらっと頭に思い浮かべるようになりました。
私の将来の夢は、日本以外の国の学校で子ども達と一緒に学ぶ先生になる事です。カナダやオーストラリアの先住民族の人々の事やニュージーランドのマオリ族の人々の事、そして日本で生まれた人として、日本の事を正しく伝えられる大人になりたいと思っています。
アメリカでの同時多発テロ、アメリカのアフガニスタン攻撃、イラク戦争、テロ事件・・・。たくさんの悲しい戦争が世界中で起きています。世界が平和になるために、私達に出来る事がきっとあると思います。私は、今までに日本の人達がしてしまった戦争や侵略、そして日本の歴史について興味を持ち、学び始めました。本当の歴史を知れば、分かる事が多くなると思います。
「戦争は相手の憎しみや争いの心から起こり、原子爆弾は恐れと疑いの心から生まれました。しかし、人間は同時に愛する心、信じる心、相手を理解し受け入れる心も持っています。その心こそ、世界に平和をもたらし原子爆弾を不要なものとするはずです。(『あの夏の日』より)
私も愛の心が持てる人になりたいです。