第24回最優秀作品(中学校の部)
第24回国際交流・国際理解のための
小中学生による作文コンクール最優秀作品(中学校の部)
「二国を結ぶ架け橋となって」
北東中学校 三年 信田 大貴
沸き上がるような歓声と共に、私を縛りつける緊張という名の鎖は一気に解き放たれた。デモイン空港に到着した時、ホストファミリーの温かな笑顔が全体を包み込み、私は最高頂の気分でアメリカでの第一歩を踏み出した。
私はこの夏、甲府市の海外派遣使節団として姉妹都市であるアイオワ州のデモインに派遣されることが決まった。10日間の滞在だが、この間現地の小学校に行き、片仮名の書き方や、折り紙の指導など、大きな役割りがある。事前に研修を重ねて、現地ではその成果が十分に発揮できるよう入念に準備した。日本文化を伝えると同時に、アメリカの子供達とコミュニケーションを計れることが楽しみだった。
日本とアメリカは、様々な面で相違点がある。私は文化の違いとコミュニケーションの仕方の違いという二つの大きなテーマを掲げて、このデモイン派遣に臨んだ。
まずは、挨拶の仕方の違いが挙げられるだろう。日本人は言葉を交わすだけなのに対し、アメリカ人は握手や抱擁などをして親愛を表すことだ。これは、それぞれの国の歴史が深く関わっており、強く根付いているため、容易に変えることはできない。しかし、帰国してから何度も感じることは、日本人は冷たい印象を受けるということだ。挨拶をしても頭を下げるだけであったり、中身のないような返事だったりで、気持が伝わってこない。アメリカ人は家族は当然のこと、見知らぬ人とまで心のこもった挨拶を交わし合う。そんな姿を何度も目にした。アメリカ国民自体がとても温かく、感情豊かであると自ら肌で感じた瞬間だった。
ホームステイ先で驚いたことがある。それは、食事の準備をすべてホストファザーが行っていたことだ。当然のことのように支度をしている姿は極めて自然であった。他の家族中にも父親が食事を作っているところが多くあったらしい。日本でも男女平等などと叫ばれているが、今だに女性は家事をするという感覚が抜けていない。アメリカはその点かなり進んでいると感じた。
食文化で驚愕したのは食べ物の両だ。何をとってもビックである。以前から話には聞いていたが、現物を前にして改めて驚いた。特に牛乳の大きさには目を疑った。洗剤容器のような入れ物に入っており、日本の牛乳パックがとても小さく感じられた。又、飲み物は毎食ごとにコーラが出てきて、炭酸が好みの私もこれには閉口してしまった。これは、日本の食文化を見直す良いきっかけとなった。改めて日本の食生活は豊かで、さらに非常にバランスの良いものであることを実感した。
今回のデモイン派遣でコミュニケーションについて多くのことを学んだ。私は英語を勉強し始めてからまだ3年余りなので、普通の会話をすることはままならない。現地のリバーウッド小学校へ片仮名と折り紙の指導をしに訪問した際にも、代本を元に小学生に指導はできるものの、質問されたときの返答に手間どってしまった。自分が持っている英語の全てを駆使して答えようとするが、なかなか上手く伝わらない。しかし、何度も必死に表現しようとしていると、思いが通じたのか理解してくれたのだ。ホストファミリーと生活しているときにも、何度か同様の場面があった。たとえ身振り手振りであっても、思いを伝えようとする強い意志さえあれば、相手はそれを読み取ってくれる。自分の気持ち次第で言葉は通じなくとも心を通わせることができるのだ。
私はアメリカで生活していく中で、人間性についても色々と考えさせられた。社会生活を営む中で、最も必要であるコミュニケーションをとるための重要なキーワードは「思い」だった。相手に自分の気持ちが伝わったとき、私は全身に鳥肌が立つほど感激した。そしてもっと伝えたいという欲求が生まれた。この繰り返しで、人は成長することができるのではないかと思う。
最後に、私はこのデモイン研修を通して、一つの夢を抱いた。それは、将来この体験を生かして、英語に携わる仕事に就くということだ。これから私は、自分の前に開けた茨の道を少しずつ掻き分けながら、夢という名の希望に向けて一歩一歩着実に歩んでいきたい。