公益財団法人 小佐野記念財団

第23回最優秀作品(中学生の部)

第23回国際交流・国際理解のための
小中学生による作文コンクール最優秀作品(中学生の部)

「世界の人々とつながるために」

甲府市立西中学校 三年 藤原 優衣

 上海万博や北京オリンピック。今、世界が注目する国、中国。私はこの夏「甲府市姉妹都市友好教育研修使節団」の一員として、中国へ行く機会を得た。この使節団は、甲府市内の中学校十一校と市立商業高校の代表二十四名と引率の先生から成り、友好都市、成都市との交流や、国際性豊かな視野の広い青少年の育成を目的としたものだ。今回の研修旅行の私のテーマは、「中国の歴史、文化に触れ、日本との関係の深い面や違いなどを知る」ことと、「中国の人々とのふれ合いを通じて、中国と日本のお互いの文化を理解する」ことだった。

 中国というとどのようなイメージを持つだろう。私の場合は、パンダの故郷、中華料理の本場、太極拳、二胡や琵琶や銅羅などの独特の楽器、チャイナドレス――そして何といっても、今世界で最も活気のある国、発展し続けている国。私は派遣が決まった頃、そんな今世界で最も注目されている国に行けるということで、とてもわくわくしていた。

 しかし、事前研修で話を聞くと、「すりが多い」だとか、「置き引きに注意」だとか、あげくの果てに「水道水を飲むとお腹をこわす」など、私の中の中国の明るいイメージには、だんだん暗雲がたちこめてきた。少し前に殺虫剤の成分が冷凍ギョーザに混入していた事件や、万博のテーマソングや日本のキャラクターの著作権問題など様々な事件も思い出し、だんだんいいイメージがくずれていった。何か問題や出来事がある度、その国のイメージや信用はどんどん変わっていくということに気付いた。

 実際に行った中国では、中国の同年代の人たちと交流する機会があった。成都市で中国の中学校を訪問したのだ。私が思っていた以上に中国の人たちは私たちを温かく迎えてくれた。中国の人たちと話をすると、向こうの人たちは、私の話を一生懸命理解しようとしてくれた。中国人は自分勝手だとか、強引だとか言う人もいる。中にはそういう人もいるかもしれない。けれども、中国の人たちがみんなそんな勝手な性格だという考えは、私は大きな間違いだと感じた。中国の人々との交流は、国や言葉の違いはあってもとても楽しく、時間がたつのが早く感じた。

 その国の文化や歴史の違いによって、人々の性格は変わってくるかもしれない。しかし、「国のイメージ」イコール「個人の性格」ではない。自分の持つその国のイメージで、そこに住む個人の性格まで決めつけてはいけないと思う。私は、外国の人と接するとき、どこの人かも大切だが、それ以上にどんな人か、その人の中身を見て、個人として接することが大切だと思った。

 私がこの研修旅行でもう一つ感じたことは、文化についてのことだ。私は以前から、外国へ行ったらその国らしい光景をたくさん目にすることができると思っていた。ところが実際には、最初に行った上海はとても近代的で、中国らしいものはほとんど残っていなかった。上海は、日本でいえば神戸のような感じで、とても人が多く、にぎわっていた。おしゃれなショーウインドーのお店や、ライトアップされたお城のような建物が建ち並ぶ通り、日本でもなじみの深い、マクドナルドやケンタッキー、吉野家などのお店もあった。中国独自の文化はあまり見られず、外国文化に圧倒されていると感じた。だが、他の都市や中心から外れた地方では、歴史的な建物や中国らしい風景も残されていた。

 日本もそうだ。和風の家屋は都会ではほとんど見られず、畳の床も最近は減ってきている。外国から入ってきた文化におされて、日本古来の文化が衰退する傾向にあるように思う。でも、日本にも伝統文化を大事に保存している場所もあり、昔からの風習も、行事の中に残っている。

 新しいことを外国からとり入れて発展することも大切だが、昔からその土地の風土や気候になじみ、受け継がれてきたその国独特の文化を残すことも大事だと思う。新しいものと伝統とのバランスをとりながら、中国らしさや日本らしさを失わないでほしいと思った。

 今回の研修旅行では、国の枠をこえて、たくさんの人々と接することや、国の文化やその土地に受けつがれてきた伝統を大切にして、残していくことの大切さを感じることができた。どの国の人であっても、みな同じ人間だ、という考え方、国境を越えて人間と人間として結びつくとういう考え方が、国際理解を深める上で最も重要なことだと思った。さらに、自分の国の文化を大切にし、未来へ伝えていくこと。自分の国のことを大切に思い伝統に誇りをもって、その国らしさを失わないでいくことも大切だと感じた。

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